課題内容
「一人称シナリオ」
「男一人、女二人」
「学園もの。放課後のチャイムから校門を出るまで」




1:「たったひとつのベタなやり方」
2:「ぼくたちの儀式」
3:「蛮名を叫ぶモノ」




■2「ぼくたちの儀式」

○学校の廊下。チャイムのSE。
  下校時刻を報せるチャイムの音が人気の失せた校舎に響き渡っている。
  渡り廊下を染める黄昏色の夕陽が、徐々に夜の闇へと流れていく。
  チャイムの余韻が消え、こつこつと響く僕の足音。
  静寂の底へと落ちた校舎は、昼間のそれとは別の世界だ。
  違う力に支配された世界、「異界」。


  なぜ僕はこんなところにいるのだろう。


  それは。

  あの子たちが待っているから。
  僕たちの、大切な儀式を行うために。


○理科準備室
  僕は理科準備室のドアを開ける。
  狭い空間に様々な授業用の実験器具やダンボールが詰め込まれている。
  窓際に立っていた女の子が振りかえり、僕を見る。

女の子 「雄一くん?」

雄一 「久しぶり」

  西園寺 美雪は伏し目がちに僕を見ながら、黙ってうなずいた。
  折れてしまいそうなほど細い身体。
  儚い華を思わせるその少女は、
  触ったら壊れてしまいそうな、そんな危うさをつねに纏っていた。

雄一 「最近、見かけなかったけど、学校に来てなかったの?」

美雪 「………」

  美雪は下を向いて答えない。

美由紀 「美雪は、また、いじめられたんだ………
     それで、いつものように『アレ』をやったんだけど、少し切りすぎてね。
     一週間ほど入院してたのよ」

  後ろからした声の主は、唐沢 美由紀だった。
  同じ『ミユキ』だが、美雪とは対称的に年齢相応の女性らしい肉づきである。
  耳もとで囁かれたので、息がこそばゆかった。

  僕は美雪の左腕を見る。
  美雪は恥ずかしがって、すぐに隠してしまったが、左の手首は包帯が巻かれていた。
  僕は自分の左手首に視線を落とす。
  薄くはなっているが、剃刀で切った後が何本も線になって残っている。


  「リストカット」


  美由紀がいった『アレ』とは、自ら手首を刻む、リストカットのことを指している。

  部屋は夕闇に溶ける。

美由紀 「もう少ししたら用務員の見廻りが始まるの。
     それをやり過ごしたら、はじめましょう」

  美雪は、黙ってうなずく。
  僕も、黙ってうなずいた。


○回想
  中学の頃もそうだったが高校に入ってから、僕は学校という集団に溶け込むことが出来なかった。
  学校の授業は、ただ退屈な時間が過ぎていくのを耐える行為だったし、
  同級生たちとの付き合いにもさしたる意味や楽しみを感じることは出来なかった。
  だれもが自然に溶け込んでいく共同体のなかで、僕は浮いていた。
  そんな僕だから、いつの間にか、いじめの対象にされてた。
  いじめ自体は大したことはなかったが、学校に行ってもウザいだけなので自然に行かなくなった。
  不登校になった当初は母も父も口煩かったが、
  共働きの忙しさのせいか、諦めたように何も言わなくなった。
  自分があの二人にとってその程度の存在であることは分かっていたから、
  悲しいことだと思うより当然の結果だと思った。

  行きたいところもないし、やりたいこともない。

  ただ、時間だけが無駄に過ぎていった。

  なんだか、「現実」を生きているカンジがしなかった。
  じゃあ、現実ってなんだって聞かれても分からない。
  けれど、そうカンジしまったのだから仕方がない。


  だから、死のうと思った。


  今考えれば、「死」が僕に生きるということがなんなのか教えてくれると思ったのだろう。

  剃刀で、何度も何度も手首を切ったが、思うような深い傷はつけられずに、結局自殺未遂に終わってしまった。
  
  この傷のおかげで、親も、先生も、同級生も、不気味がって、僕に近づかなくなったので少し楽になったといえる。
  そして、この傷は二人の「ミユキ」と僕を出会わせてくれた。

  二人の「ミユキ」は、僕に「儀式に参加する資格がある」と言って、僕の前に現れた。


○夜。理科準備室。
  仄かな月明りが窓から注ぎ、美雪の青白い肌を照らす。
  美雪は上半身の制服を脱ぎ、ブラだけになる。
  手首だけでなく、全身に細かな裂傷や火傷の跡がある。
  青白い肌に無数についたその傷を、普通の人間なら痛々しく感じるかもしれない。
  だが、その傷の意味を知る僕には、それは彼女が生きるために自らつけた「聖痕」に見える。
  美由紀は、美雪の左手首の包帯をゆっくりとはずしている。

美雪 「クラスのみんなが……、私をゴミだって言うの。
    死にたがりだって、変態女だって言うの」

  美雪は涙声で話し始める。

美雪 「私から話かけても、みんな、無視するの。
    ミユキに会えない日は、なんだか世界に私がひとりぼっちになっちゃった気がして。
    恐かった。
    それを家に帰って思い出したら、嫌な気分になって、頭がガンガンして。
    だから、スッキリするために、カッターで……」

  美由紀は、あらわになった美雪の手首の傷を見つめる。
  まだ、その傷は生々しい色をしていた。
  その新しい傷の周囲には、僕の手首とは比べ物にならないほど多くの古傷が刻まれている。

美雪 「痛いのが好きなんじゃないの。 全然、気持ちよくなんかないよ。
    でも、自分の身体を傷つけてるときは、痛みを感じてるときは、自分が自分だって分かるの。 ねえ、そうでしょ?」

美由紀 「ごめんね、ミユキ……。
     私がずっとそばにいてあげられれば」

  そう言うと、美由紀は美雪の手首の傷にそっと唇をあてた。
  そして、傷の線に合わせて舌を這わせる。

美雪 「は……、あぁ」

  美雪は恍惚とした表情になる。
  美由紀は手首だけではなく、美雪の全身の傷に舌で奉仕していく。
  それは丹念な愛撫でもある。

美由紀 「雄一くん」

雄一 「……うん」

  僕も上半身を裸になって、剃刀を取り出す。

雄一 「痛みは、僕たちの絆だ」

  僕は刃を自分の胸に押し当て、ゆっくりと左上から右下へと引く。
  激痛が走る。
  ダラダラと、血が流れる。

雄一 「痛みが、僕たちをひとつにするんだ」

美雪 「雄一くん…」

  美雪はまるで甘い蜜を吸うかのように、僕の傷を舐め、流れた血を舐めとっていく。
  流れた血を追い、僕の身体を這う美雪の舌。
  その舌はベルトのところで止まる。
  美雪はぎこちない仕草で、ズボンから僕のペニスを取り出す。 
  血が口紅のように塗られた小さな唇が僕を包み込む。

雄一 「っ……美雪…ちゃん………」

  歯があたり、かすかな痛みが走る。それは不快な痛みではなかった。

美由紀 「雄一くん、私のことも見て」

  美由紀を見ると、彼女も上半身を裸になっていた。
  健康的ではりのある肌の上に、美雪と同様に数え切れないほどの傷があった。
  形の良い大きな乳房にも大きな傷が幾つかある。

美由紀 「私ね、美雪がひとつ傷をつけるたびに、自分にも傷をつけるの。
     私たちミユキは、ひとつなの。
     私、雄一くんともひとつになりたい」

  美由紀の言葉を聞きながら、僕の快感の高まりは限界を迎える。

雄一 「ミユキ……、ミ…ユキ…っ」

  快感は、液体となって放たれた。
  美雪は懸命に白濁液を飲みほそうとするが、その小さな口から溢れ出した。
  精液は、美雪の唇で血液と混じり、ほのかに紅くなっている。

美由紀 「雄一くぅん……」

  美由紀は、僕の使った剃刀をきれいなピンク色の乳首にあてる。

美由紀 「っん! ぅんん………。 お願い……、雄一くん……」

  深く刻まれた傷口から鮮血が溢れる。
  僕は美由紀の乳房にしゃぶりついた。
  口に、血の味が広がる。
  美由紀は、僕の頭をかかえるようにして抱きしめる。

美由紀 「あぁ、あ…。 来て……」

  美由紀はスカートをたくし上げると、ショーツを少し下げた。
  あらわになった彼女の茂みはじっとりと湿って、僕を受け入れる準備ができているようだ。
  僕のペニスは一度放出したのにもかかわらず、すでに痛いほど硬くなっていた。
  ペニスの先を指で誘導し、美由紀の秘所へゆっくりと、ゆっくりと押し込む。

美由紀 「んあっ、ん! ああぁ! は、はぁあ」

  お互いの胸から、血が流れ、激しくこすれ合う腰まで流れ、粘液と混じる。
  腰を振るたびに頭の中が白くなる。
  美由紀の大きな胸が上下に揺れる。でたらめなほど強く美由紀の膣内に分け入ろうとする。

美由紀 「はぁ! はぁあん! あぁ、もっとぉ、もっとお、お!」

美雪 「雄一くん………、私も」

  美雪が強引に唇を合わせてくる。
  ぬらぬらとした長い舌が、僕の口の中を這い回る。
  突き上げるような快感と、ふたりの肉の温かみ以外、僕は何も感じることが出来なくなる。
  美雪はスカートの布地の上から、自分の秘部を指でかき混ぜている。

  三人の早鐘のような鼓動が重なる。

  肉棒から伝わる美由紀の脈動。

  美雪の息遣い。


  唾液と、精液と、愛液と、そして血液が混じりあう世界。


  痛みと、快感が混在する世界。


  どこまでも高まりゆくかのような悦快の波が、果てにたどり着こうとしている。


  世界が白くなっていく。


美由紀 「んんはっ! はんぁ! あんっ、あ! ゆ、雄一く、うぅん」


美雪 「ふ、んん! んぁ! ……雄一くん 」


雄一 「み、ミユキ……」



  僕の中で、美雪と美由紀の区別がなくなる。



  そして、ぼくとふたりの区別がなくなる。





  世界が白に変わる。





  ぼくらはひとつになる。





○校門への道
  僕たちは手をつないで、校門につづく道を歩いている。
  ふたりの手の温かさは、身体の中の熱さに比べて、あまりにも頼りない。
  けれど、この手の温かさこそが、僕の求めていた「世界」なのだ。

  「ココロ」の「キズ」を舐めあうこんな行為、いや、『儀式』を繰り返す僕たちはきっと狂っているのだろう。
  けれど、僕らの居場所はふたりとともにある『世界』だし、この『世界』に比べれば、他のすべての世界はなんの価値もないものだ。
  もう、この学校で、『儀式』をすることは二度とないだろう。

  僕たちは、学校から踏み出した。


END







■3「蛮名を叫ぶモノ」

○夕闇の校舎。鐘の音。
  学園の中心にある巨大な尖塔から鐘の音が鳴り響いている。
  その音が校舎に木霊し、まるでオレに対しての呪詛の声のように聞こえる。
  尖塔の根元には、この学園のシンボルである「ヘルメス・トリスメギストス」の石像が、
  二匹の蛇が絡まった智恵と再生を司る「カドゥウケスの杖」を天高く掲げている。

  次の鐘が鳴るまで一時間。
  それまでにこの学園から出ることが出来なければ、この試験は不合格に終わる。
  急がなくては。

月子 「ほんと、どーなってんのよ! ムカツク!」

  オレのパートナー 光井 月子(みつい つきこ)は、腹立たしげに叫んだ。

月子 「進級試験にかぎってパートナーはとんでもないボンクラだしぃ!」

  と、オレに軽蔑をこめた視線を投げかける。

月子 「それに何? この学校が特殊なのは分かるわよ。なにしろ、魔術師を育成してんだから。
    だからって進級試験に、あんな直撃したら死ぬようなトラップばかり張るぅ、フツー!?」

  怒りのあまり、声が半分裏返っている。

翔 「とにかく、急がないと。最後の鐘まで一時間しかないから」

月子 「分かってるわよ!」

  月子は振り向きもせず歩き出す。

翔 「待てよ」


  オレたちが通う私立神智学園は、
  世界屈指の経済力・政治力を誇るラヴァン・シュルズベリーによって創立された「特殊」な学校である。
  オレはまだ、財団の長であり、学園の創始者で学園長でもあるラヴァン老を見たことがないし、
  その言葉を直接耳にしたことはないのだが、

  「来るべき大いなる刻に備え、人類側の霊的防衛の要となる場所を創るため。
   そして、人類にとっての剣であり、盾になる存在を育成すること」

  を目的に、この学園は創られたと、生徒手帳には書いてある。


  「来るべき大いなる刻」


  この学園に長く在籍できるレベルの生徒は、
  それなりの神秘主義者でもあるからその「大いなる刻」という言葉が何を意味するかを知らない者はほとんどいないし、
  あえて語る者もいない。
  そう、あの「大いなる者」とその従者が復活を遂げる日だ………。

  そういったわけで、古今東西の魔術・秘教の奥義・神々の智恵を学び、一級の術者を育成する学院、神智学園。
  その一年生であるこのオレ、神代 翔(かみしろ しょう)は、今、落第の窮地に立たされているのであった。

翔 「むう、ここは一度通ったなぁ」

月子 「やっぱり、何らかの術式で校舎全体が閉じた空間にされているのよ。
    あの性悪ババアのやりそうなことね」

  「性悪ババア」と言われたのは、我らが担任、字楽 彩子(あざらく さいこ)女史である。
  字楽先生は今回の試験の担当官でもある。
  今回の進級試験は、「現代の魔女」字楽 彩子が組んだ術式によって閉ざされた学園から脱出することが目的なのである。

翔 「魔術的に空間を歪めて円環構造を作り出しているとすれば、
   どこかに必ずほころびがあるはずなんだけどなぁ。
   どんどんトラップが強力なものになってきているから、そのほころびは近いはずなんだけど」

月子 「いっそのこと私の『魔法原論』で、術式ごと破壊しちゃおうかしら」

  月子は古びた洋書を取り出して言った。

翔 「う?ん。まあ、脱出は出来るだろうけど、
   評価は低いだろうから落第は免れないだろうけど」

月子 「…っさいわね! 分かってるわよ! そんなこと!! あんたみたいなボンクラ、死ねばいいのよ!」

  ひどい言われようである。 

  月子は、こと魔術に関して天才的な才能を持った女の子である。
  それは、オレたち魔術科の生徒が必ず一冊は契約することになる「魔導書」が、
  彼女は『魔法原論』であったことからも分かる。
  『魔法原論』は、かの大錬金術師パラケルススの著書であり、
  月子が契約を交わしたそれは17世紀に英訳された初版で、
  現存するもののなかで最も魔力を秘めた『魔法原論』であることは間違いない。
  誰もが望む垂涎の大魔導書と、なんの努力もなしで契約を果たすことができたのも「天才」さ故だろう。

  魔力を秘めた長い黒髪。

  繊細な顔の線。

  活動的でしなやかな肢体。

  まさに非のうちどころのない「魔女」月子の最大の欠点は、性格だった。
  短気、向学心なし、協調性なし、外罰的、口が悪い、自信家、陰険。
  天才的長所を補って余りある欠点でもある。

月子 「ったく、あんたみたいのがパートナーじゃ、いくら私が優秀でも合格なんかできないよ!
    あんた、才能のないダメ人間はダメ人間らしく、頭か身体を使ってよね」

翔 「さいですね」

  オレは、余計な思考をすべて停止し、学園に仕掛けられた術式の「ほころび」を探した。
  体系化のなされた魔術は、いわば「数学」もしくは「プログラム」のようなもの。
  森羅万象の理(ことわり)に干渉し、操る技術こそが「魔術」なのだ。
  だからこそ、干渉された「理」には、その痕跡が必ず残る。
  それを見つければよいのだ。
  この進級試験の意味も、その「痕跡」を探しだす力を試すものだと言っていいだろう。
  この学園のどこかにその「痕跡」があるはず。
  それも、近くに。

  オレはゆっくりとあたりを見渡す。
  校舎のいたるところに、呪術的図像学的意匠が施されている。
  視覚的な「呪」は、すべての術式の基礎であるからだ。
  中庭に視線をおとす。
  巨大な尖塔の下、伝説の魔術師「ヘルメス・トリスメギストス」の像が暗闇に立っている。

翔 「!」

月子 「どうしたの?」

翔 「見つけたよ。ほころびを」



○学園中庭。石像の前。

月子 「なんで私が分かんないのに、あんたみたいな脳みそ足りなさそうなのが分かるのよ!?
    説明しなさいよ!」

翔 「学園全体は空間の位相を歪められて、無限円環の構造を形成していたね」

月子 「ええ」

翔 「古来より、無限に繰り返す円環、永遠のシンボルといえば、自らの尾を食らう蛇……」

月子 「…ウロボロスがどうかしたっていうの?」

翔 「それでは、次。
   オレたちの学園、神智学園のシンボルといえば?」

月子 「このウスラでかい石像でしょ」

翔 「そう。伝説の魔術師、三重に偉大なるヘルメス、『ヘルメス・トリスメギストス』だ。
   彼はすべての魔術の祖であり、究極の魔導書『エメラルド・タブレット』を記した人物。
   中世の魔術を繁栄させた魔導書「ヘルメス写本」はそれの写しだ」

月子 「あんた、私のこと馬鹿にしてるでしょ。
    そんなの魔術を志すものの基本じゃない」

翔 「まあ、最後まで聞けよ。
   ヘルメスは、魔術秘教の叡智の象徴である。
   だからこそ、この学園のヘルメス像は「再生」と「叡智」の象徴、
   医学のシンボルとしても有名な、二匹の蛇が螺旋状に絡まった『カドゥウケスの杖』を天に掲げているのだ」

月子 「へび?」

  ヘルメスの持つ杖を見上げる月子。
  そこには、本当ならば杖に沿って、螺旋を描いて絡まっているはずの二匹の蛇のかわりに、
  一匹の蛇が自らの尾を噛み「無限大」の形 で杖に絡まっていた。

月子 「ば、ばぁ、馬鹿にしてぇぇええ!」

  月子が『魔法原論』を天にかざす。
  『魔法原論』から猛り狂った獅子の唸りにも似た音が発せられる。
  いや、正確には振動と言ったほうがよいかもしれない。
  月子がカッと眼を見開いた刹那、彼女の前方から閃光が走り、
  その光はヘルメスの蛇へと襲いかかり、歪んだ空間の元凶は砕け散った。
  それと同時に、あたりの景色がガラスを砕いたかのごとく崩れさっていく。


○校門前。
  空には大きな月輪。
  校門の前には、女教師然とした格好の字楽 彩子がたっていた。

字楽 「合格」

  月子は通り過ぎざまに一言。

月子 「失せろ、売女。火箸で女陰突いて死ね」

  と一言。

  すごい台詞。


  合格したオレたちは校門から出る。
  オレはほっとした。
  バックの中にあるオレの魔導書『エメラルド・タブレット』を使わずにすんだから。
  月子がこれを知ったら、殺されかねない。


END